この記事は
「どんぐりって食べられる?どんぐり餅やどんぐりコーヒーってどんな味?」
という疑問をお持ちのあなたに向けて書いています。
以前、食べられるどんぐりの代表格、マテバシイとスダジイを食べました。
その時の記事はこちら↓
今回はマテバシイのどんぐりからデンプンを抽出して、どんぐり餅にして食べてみました。
デンプンを抽出した後のどんぐりカスは、見た目もコーヒーに似ていたので、乾燥焙煎してどんぐりコーヒーにしてみました。
おいしい?おいしくない?
製作過程と味のレポートをお届けします。
どんぐりころころどんぐり粉。作るのすごい大変
まずは何はなくともどんぐりの採取です。
大気汚染に強く防音性も高いことから、都会の街路樹などでもよく見る「マテバシイ」のどんぐりを拾いに行きます。
マテバシイのどんぐりは入手が簡単なだけでなく、タンニンが少なくアク抜き不要で食べられるどんぐりです。
貝塚などからその実が出土することもあり、古くは縄文時代から食べられてきたと考えられているありがたいヤツでもあります。


「子どもの工作で使うんです、怪しい人ではないですよ」という嘘アリバイのオーラを出しつつ、街路樹のどんぐりを拾い集めます。

今回浮かんでくるどんぐりはナシでした。新鮮どんぐり!

どんぐりは拾い放題でしたが、大量に拾いすぎると自分の首を絞めるとわかっていたので控えめで。
で、ここからが一番大変な作業。
ペンチでどんぐりの殻を割り、中の実を取り出します。

写真だと一瞬ですが、この作業に 3時間 かかりました。
ずっと同じ体勢でやってたから腰とペンチの使いすぎで手が痛い…。

取り出した実には茶色い薄皮がついていることがありますが、この薄皮は後工程でも取れるのでそこまで神経質にならなくて大丈夫です。

一応フードプロセッサーはあるのですが、非力な上に音がうるさいので、すり鉢で細かくしました(フードプロセッサーの準備と後片付けも面倒臭いので…)。




すり鉢作業は 約2時間。
休日の14時から始めて、食事とお風呂をはさんで作業が終わったのは22時です。
まったくオススメはできませんがw、どんぐりがキレイな粉になったモノを見ると達成感はあります。
パララーっと、持ち上げては落としてを何度か繰り返して粉にした充実感を味わってやりました。
何かを無心で粉にするって作業は、カタルシスがありますな。粉セラピー。
でも今日はもう疲れたので、おひらきー。
2週間後作業再開。なにやら茶色に変色してるけどデンプンを抽出する
どんぐり粉が入ったお椀に袋をかぶせて冷蔵庫に入れて2週間放置しました。
酸化なのか乾燥なのかよくわかりませんがどんぐり粉は、茶色く変色していました。
こんなにも色が変わるんだね…でも休日半分潰した作業なので、やらないという選択肢はもう無いんだよ。サンクコスト。

粉をつまんでみると変な味もしないのでデンプン抽出には影響ないでしょ。イケるイケる。

どんぐり粉をガーゼに包んで、ボウルに張った水につけて揉んでいきます。
中からニュルッとした白いものが滲み出てきます。それがデンプンになります。
ヌメリのある成分が染み出してこなくなるまで、ガーゼを揉みます。
その後はこの液体を放置してデンプンの沈殿を待ちます。
上澄み液が透明になるまで「上澄み捨てる→放置」を繰り返せばデンプンだけ抽出できる算段です。



上澄みの色が透明になるまでこれを繰り返します。
理科の実験みたいで、この作業ちょっと楽しいです。




「どんぐりの薄皮はあまり気にしなくて良い」と前述しましたが、この上澄みを捨てる工程で水に浮いてきた薄皮を一緒に流し捨てられるというわけです。
上澄みを捨てたら、後はデンプンを乾燥させます。




拾ってきたどんぐり:200g
どんぐりのむき実:115g
抽出デンプン:23g
歩留まりが良かったのか悪かったのかは初体験なのでわかりませんが、一応デンプンは取れたってことでしょう!
搾りかすももったいないから、どんぐりコーヒーにしてみよう。どんな味?


ねー、パパこれ何?ウ○コ?
と、長男(小3)がケタケタと笑いながらお約束のツッコミを入れにきました。
正しい小学男子だなお前。そのまま育て!

搾りかすをつまんで口の中に入れてみましたが、アクやえぐみはありません。
「どんぐりコーヒー」というものがあるのは知っていたので、見た目もコーヒーっぽいし、乾燥焙煎して飲んでみよう。





焦がさないように、ヘラで混ぜながら中弱火で10分煎りました。
匂いに変化はなかったですか、色はこげ茶色に。


ドリップ初めは色が少し薄いかなと思いましたが、量を落とすとなんということでしょう、見た目まんまコーヒーです。
ただ香りはコーヒーとはほど遠い香り。
コーヒーが「コク深い香り」だとするならば、かなりライトなあっさり目でした。
しかし不快というわけではなく、木材が蒸された時のさわやかな香りって感じでした。
妻に正体を明かさず嗅いでもらうと、「んーほうじ茶?」との答えが。
焙煎したから香ばしい香りは確かにします。おいしいかな?飲んでみよう!

クセのない優し~い味だな。おばあちゃん家って感じ
妻に「ほうじ茶?」と言われたからそれに引っ張られてるかもしれないけど、コーヒーというよりはお茶です。
市販品として売られていてもなんら問題ない、おいしいお茶って感じでした、ほっこりします。
デンプン抽出後だったので、通常のどんぐりコーヒーより甘みは控えめだったかもしれません。
ただもっとクセのある味を想像していたので、良い意味で期待を裏切られました。自作どんぐりコーヒー、全然イケます。
どんぐりデンプンで、どんぐり餅を作って食べる
どんぐりコーヒーを楽しんだので、本筋のどんぐり餅を作っていきます。
どんぐりデンプンは片栗粉と同じようなもの(片栗粉はじゃがいもから抽出したデンプン)。
なので揚げ物の衣に使ったり、とろみづけに使ったりもできるのですが、片栗粉に砂糖と水を混ぜて加熱させて糊化させ、それを冷やした「でんぷんかき」という素朴なお菓子があります。
それをどんぐりデンプンで作るのが「どんぐり餅」になります。
わらび餅も似たような作り方なので、まぁどんぐりデンプンを使ったわらび餅と考えていただければ良いです。
どんぐりデンプンの重さの3割の砂糖を混ぜて、同じく重さの8がけの水を投入。
鍋で焦げないように弱火でかき混ぜながら加熱します。


弱火にかけ、ヘラで混ぜながら加熱します。
「最初これが糊化するのか?」と思うほどゆるゆるの液体状でしたが、モノの3分ほどでねっとりとした形状に。
急に糊化してビビりましたw。一気にくんのね。


粉の時より一気に茶色くなって、まったくおいしそうに見えませんw。
ちなみに日本ではあまり馴染みのないどんぐり料理、韓国では一般的な食堂でも提供されることがあるそう。
その中でも代表的なのが「トトリムク」と言われるどんぐりデンプンを固めた料理で、わたしが作っているどんぐり餅と似たようなものです。
トトリムクは甘い味付けではなく、ピリ辛ダレをつけて食べるんですね↓
Amazonでは韓国産のどんぐり粉も売ってます↓
「ほろ苦い風味」とのことなので、タンニンのあく強めのどんぐりをあく抜きして粉にしてるのかもしれません(マテバシイ・スダジイ等はあく少な目。ミズナラ・コナラ・シラカシなどはあく強め)。
どんぐり餅を食べてみる。どんな味?
冷蔵庫で冷やして固めたどんぐり餅を、夕食後のデザートに食べました。

餅というよりは、ゼリーっぽいですね。
水分量を多めで作れば、もうちよっと緩めの餅感になるのかなと。


どんぐりの味は…しないな。クセなく普通に食べれる

硬めの葛餅って感じ。黒蜜ときな粉の味
食感が少しザラザラしていますが、味にクセは全くありません。
見た目「泥の破片」を食べてるように見えますが、見た目ほど味にインパクトはないです。
むしろ優しい味、まぁデンプンなので当たり前なんですが。
子供たちにも好評であっという間になくなりました。

まとめ
大変だったけどやって後悔なし!次の企画も思いついた!
かけた時間と手間、それに見合うおいしさか?と問われれば正直そんなでもないですw。
だけどやってみたかったんだからしょうがない!
どんぐりコーヒーもどんぐり餅も、「どんな味になるんだろう?」と作りながらドキドキして楽しめます。
ただ人にオススメするかと言われたらオススメしませんw。だって大変だもの。
でもこの体験は私だけのもの!やって後悔はないですし、こうやって発表して読んでもらえるなら満足です。
クセなく普通に味わえたので、「かつて縄文人もどんぐりを粉にして食べてたのかな」と想像しながら食べると、2,000年前にタイムスリップした気分になります。
マテバシイは殻を割るのが大変でしたが、スダジイなら勝手に殻が割れてくるので粉にするのもマテバシイより簡単そう。
と思って、すでにスダジイのドングリを拾って粉にして保管してます!
つーわけで次はスダジイの粉を使ったクッキングです。時間と記事にできそうな盛り上がりがあれば書きますので期待しないで待っていてください(と、思ってたんですが冷蔵庫に入れて放置してたらカビました(泣)。来年書きます!)。
今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございます(礼)。
コメント
面白いです!他の記事も読みました、今後も更新楽しみにしてます!
訪問ありがとうございます。
なかなか時間が取れなくて最近更新頻度が空いていますが、頭の中でネタはあるのでおいおい記事にしてくつもりです。
感想をいただけると大変励みになります。おじさん頑張れます!