やっと会えた!費やした時間が無駄にならなくてよかった
数年前にこの記事を読んで、「いつか見つけてみたい」と思っていたアミガサタケ。
デイリーポータルZ 公園とかで採取できる春のうまいキノコ、アミガサタケ探し
この記事を読んだ後は「公園なんかで簡単に見つかるもの」だと思っていましたが、なかなかどうして、探せど探せど見つからないツンデレキノコでした。
毎年春に時間を作って散策に行っていたのですが、空振り続き。
捜索時間は累計で10時間オーバーかなと思います。
「4年で10時間程度なら短いじゃないか!」と思われるかもしれませんが、あるんだかどうかわからないものを探すのって精神的になかなかクルんですよ。
毎シーズン1回2時間、2回程度散策に行き、何も見つけられなかった時の
俺はいったい何をしてるんだろう…
感って、なかなかこたえますよ(笑)。
まぁ、そんな散策の中での発見もあるんですけどね。
こちらとかこちらとか↓
で、今年も捜索に行き、諦めかけていたシーズン終盤で見つけました。
諦めかけていただけに、余計に嬉しかったですね。
それなりの本数を採取できたので、色々と試して食べてみました。
4年越しのお味はいかに?
そもそもアミガサタケとは?
このページにたどり着いた方々はおそらく
「アミガサタケ 探し方」
とか
「アミガサタケ どこに生える」
等の検索で引っかけてきたキノコクラスタの方たちだと思うので説明不要でしょうが、初耳の方たちのために解説を。
キノコと言ったら「秋」をイメージされると思いますが、このキノコは春に生えてくる珍しいキノコです。
近縁種も10種類程度あり、その中で食用キノコとして親しまれているのは、
- トガリアミガサタケ(ブラックモレル)
- アシブトアミガサタケ(イエローモレル)
の2種類です。
英語では「モレル」、フランス語では「モリーユ」などと呼ばれる高級キノコです。
↑ 乾燥の10gで¥1,900円程度!¥1,500程度! ←値上がりしてる…
発生に謎の多いキノコで、わかっていることは
●トガリアミガサタケ(ブラックモレル)
発生時期:桜の咲くちょっと前くらいから
発生場所:桜やイチョウの木の下など。人の足で踏み固められてない場所
発生条件:雨の降った後などに生えてくる(らしい)
●アシブトアミガサタケ(イエローモレル)
発生時期:桜の散った後から
発生場所:桜の木の下など。人の足で踏み固められてない場所
発生条件:雨の降った後などに生えてくる(らしい)
一番知りたい発生場所なのですが、これが本当に謎です。
過去4年、桜の木の下も、イチョウの木の下も何十本も見ましたが、ついぞその木の下では見つけられませんでした。
他の樹木の近辺での発見報告もありますし、都会の石垣のふきだまり的なところからの発生もあるみたいです。
こんなところから発生することも↓
どんな所で見つかるかは、毎年まとめてくれてる「べにてんぐの会」さんのtogetterを見るのが一番参考になると思います。
なので「発生時期に可能性のありそうなところを探しに行く」以外に見つける方法がありません。
そんなわけで、今年も捜索に出かけてきました。
捜索日は4月10日。住宅街の緑地でイエローモレル発見!
向かったのは千葉県北西部のとある緑地。
そこそこの大きさの緑地でしたが、くまなく捜索してもアミガサタケは見つけられず。
木々が茂っている緑地を1時間捜索してもナシのつぶて。
クルマを止めておいた駐車場に戻ろうとしてた時にそれは不意に目に飛び込んで来ました。
ここにもなかったか。まだ陽があるからもう1箇所、別の場所を見て帰るか…
ほぼ諦めかけていたときに、視界に引っかかりました。
まさかこんな所に生えていようとは。
写真に見えてる木は、桜でもイチョウでもなく、おそらくクヌギ(もしくはコナラ)。
過去のどんぐり探しの経験から、多分間違いないと思います。
【僥倖】偶然える幸せのこと
この時のワタシの気持ちです(笑)
小さいモノは何本か残してきたので、来年も他の方に気付かれなければ、ここで収穫できると思います。
いやー、嬉しい。
ワタシにもシロ(自分だけのキノコが生えてくるポイント)ができました。
JAグループ福岡 マツタケの「シロ」って何?
アミガサタケ観察&乾燥
家に持って帰り観察します。
アミガサタケの中は空洞で、人にとって美味しいキノコは虫にとっても美味しいのか、良く虫が入っていることがあるそうです。
今回ワタシがとってきたキノコには中に虫はいませんでしたが、こんな風に虫が入っている事があるそうです↓
この週末は料理をする時間が取れなさそうだったので、乾燥させる事にしました。
乾燥させておけば、保存が効く&小分けで料理にも使えるので何品か試せそうなので好都合です。
乾燥アミガサタケはジップロックに入れて冷蔵庫で保管します。
これで空いた時間に小分けで調理できる。
ちなみに乾燥アミガサタケはかなり「イカ」っぽい匂いです。いわゆる「イカ臭い」です(笑)。
生食禁止!アミガサタケは毒キノコ
乾燥アミガサタケを仕込んだので、時間がある時に料理していきます。
ただここで要注意事項。
アミガサタケには微量の毒があり、生食厳禁なのです。
食用キノコの一つであるが、子実体には微量のヒドラジンを含むため、生食することは避けるべきであるとされる。
また、調理されたものであっても、アルコールとともに食べると酔いを深め、悪心や嘔吐の原因になるともいわれている。きちんと加熱調理し、かつアルコールを同時に摂取せずに食べても、大量に摂食した場合に眩暈・ふらつき、縮瞳などを起こした例が報告されている。
ただし、これらの症状は、特別な治療を施さなくても次第に寛解するとされている。
情報引用:Wikipedia アミガサタケ
「ヒドラジン」とはロケットエンジンの推進剤にも使われる猛毒だそう。
北朝鮮のミサイルは、発射こそ失敗したが、燃料の主成分だった「ヒドラジン」を黄海にばらまき一帯を死の海にしたようだ。
気化したものを吸い込んでも、少量が皮膚に付着しても死ぬというこの猛毒が、実はアミガサタケ類には含まれている。
同属のシャグマアミガサタケはこの毒のおかげでしばしば死者を出している。いくら沸点が低く気化しやすいといっても、適当な調理ではかなり恐ろしいものになるのは容易に想像がつく。
情報引用:野食ハンマープライス
ただ、ヒドラジンは揮発性の物質で、よく加熱すれば毒は抜けるそう。
その際も揮発した物質を吸い込まないように注意しなくてはいけません。
毒成分のメチルヒドラジンは揮発性の物質で、沸点は87.5度C。沸騰した湯で煮沸したり、しっかり焼いたりすれば、含有量のほとんど全てを除去することができる。
生食はもちろん生煮えや生焼けは厳禁だが、十分に加熱して調理すれば安全に食べられる。ただし、揮発性の毒なので、大量に処理する場合は換気を良くして湯気を吸わないように注意すること。
情報引用:BE-PALホームーページ
一品目、アミガサタケのクリームパスタ
はい、気をつけるところがわかったところでいよいよ調理に移ります。
初めてなのでかなり慎重に吹きこぼして換気もしました。
ここまでする必要はないかもしれませんが、まぁ気をつけるのに越したことはないのでね。
まず、茹でたアミガサタケをそのまま食べてみました。
うーん、根元の方の食感はそこまで良くはないですね。何に似てるって言えば良いのかなー。
ただ、甘みを感じる香りはしますね。
頭の方(アミアミの方)が柔らかくて食感は良いですね。
流石に何も味付けしないと「美味しい」ってことはないけど、甘い独特の香りのするキノコという事はわかりました。
いつもの様に妻にも食べてもらいました。
なんだろねー、味はそんなにしないねー。(根の方の)食感はごぼう程は固くないけど、結構繊維質だね
ワタシは香りに甘みを感じましたが、妻はそうでもないとの評価。
これだけ食べても「うまくもまずくもない」と言うのが夫婦の評価です。
やはり調理してなんぼなんですかね。
欧米での定番は「クリーム系のものとあわせる」とのことなので、一品目はクリームパスタを作っていきます。
アミガサタケの風味はほのかに感じるな、普通に美味しいパスタだ
いかんせん初めて食べるので正解が分かりませんが、普通に美味しいパスタです。
旨味、香りともだいぶ控えめです、多分椎茸の方が旨味も香りも数段上な気がする。
アミガサタケのアミの部分だけを食べるとちゃんと旨みを感じられる美味しいキノコだとわかりますが、パスタといっしょに食べると、そこまで主張は強くないキノコですね。
ニ品目、アミガサタケのリゾット
二品目はアミガサタケの出汁を米に吸わせてみようと言うことで、アミガサタケのリゾットに。
初リゾット作りでしたが、リゾットって時間かかるんですね。
アミガサタケのだし汁も全然足りず、薄めて薄めて使いました。
調理に1時間かかるとは思いませんでしたわ。
うん、普通だ。普通に美味しい
アミガサタケリゾットもパスタ同様とりたてて飛び抜けた特徴もなく出来上がりました(苦笑)。
リゾット初挑戦で勝手もわからず、出汁を割りまし割りましで使ったから、そんなに風味も強く出てないです。
風味で言えば、正直アミガサタケじゃなくてもよかったかなと。
椎茸しめじ等、他のキノコの方が香りは強く出るはずです。
ただ、アミガサタケの食感は歯切れよくて良いですね、面白いです。
2品作ってみて、アミガサタケ自体はそこまでとびぬけたうま味や香りのあるキノコではないというのがわかりました。
あと一品作れそうなので、次は和に寄せて作ってみようかな…。
三品目、アミガサタケの和風スープ
残りのアミガサタケを調理します。
例のごとく戻して、煮て、出汁を取ったのですが、火にかけてたことを忘れてちょっと煮詰まってしまいました。
そしたら怪我の功名でこれがまぁ良い匂い。
ケチケチ使わずに、いっぱい使った方が良い食材なのかもしれません。
ただ、煮詰まりすぎて量が足りなかったので、昆布出汁で補強しました。
あ、和でも全然いけるな。良い出汁出てるわ。
美味しいです、良い出汁出てます。
めんつゆで割ってそばつゆにする事も候補だったのですが、量が足りずそちらはできませんでしたが、多分それも美味しくなりそうです。アミガサタケ蕎麦。
ただ醤油の香りの方が強いのか、アミガサタケの風味は奥の奥の方に行ってしまいましたかね。
やはり香りを楽しむならクリーム系の方と合わせた方が良いかもしれません、しかもケチらずにババンと使うと。
うん、アミガサタケの味、なんとなくわかった。
まとめ
来年はブラックモレルも見つけたい!
幸運にもイエローモレルを発見して、色々試すことができました。
で、食べた感想なんですが、「安定供給されている栽培されてるキノコって優秀だな!」と言うことです。
見つけづらいので希少価値で高級なんでしょうが、味だけで言うと、食べ慣れていないからか「とびきり美味しい!」と言うキノコでもありませんでした。
まぁ、料理の腕もあるんでしょうけどね。
そうは言っても来年以降も同じ場所で収穫は出来そうなので、違う料理も試してみたいと思ってます。
イエローは見つけたので、今度はブラックモレルの方ですね、また来年も散策する事になりそうです。
最近のニュースなんですが、岩手県がアミガサタケの人工栽培に成功したそうです。
近い将来にスーパーなんかでアミガサタケを見れる日も来るのかもしれませんね。
ただ、それはそれで悔しい気もしますね、こっちはあれだけ苦労して探し回って見つけたので(笑)。
ここまで読んでくださった、きのこに関心のあるあなた!こちらもどうぞ↓
今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございます(礼)。
↓ページ下部に「関連記事」「人気記事ベスト10」があります。お時間がある方は見るだけみてやってください(願)。
コメント
こんにちは
右腕故障大丈夫ですか?
春のキノコですか
気になりますねー
リンク先の商品ページに
「栽培ができないことも価格が高価な理由の一つですが、ほかのきのこにはない高級な香りと味わいがでシェフの間でも人気の高い高級きのこです」
って書いてありました。
味のリポートが楽しみです❗
お返事おくれました。
ケガはちょいと骨折しまして…。今リハビリ頑張ってます。
で、先週は風邪の初期症状みたいな状態が続いて「コロナじゃないよね?」と一人震えていました。
まぁただの風邪だったので、取り越し苦労でしたが…。
返信遅れまして、すみませんでした。やっぱり健康が一番ですね。
アミガサタケ、最近のニュースで岩手県が人工栽培に成功したらしいですよ。
https://mainichi.jp/articles/20210430/k00/00m/020/125000c
もしかしたら近い将来スーパーとかでも見れるかもしれませんね。
レポートはぼちぼち追記し始めるので、気長にお待ちください。